かつては活気があった国産PCゲーム市場も停滞して久しく、大手のメーカーでさえ新作をリリースするのは厳しい状況だ。
‘Studio GIW’はそんな中でZombie Vital-ゾンビバイタル-やVAZIAL SAGA-ヴァジアルサーガ-などの様々なゲームを開発し、活動を続けている希少なメーカーの一つである。
09年12月。そのStudio GiWから新作RPG‘KILLZVALD(キルツヴァルド)〜最後の人間〜’が発売される。
基本は迷宮を探索して敵を打ち倒すという伝統的なものだが、かつてのRPGのような手ごわさや雰囲気を踏襲した上でシミュレーションのような要素を加えた意欲的なゲームだ。
今回はそんなKILLZVALDの体験版を試してみたので紹介しよう。

物語は全体が氷結し、人類が滅亡した世界で主人公が目覚めるところから始まる。傍には女性が一人。彼女は不老不死の人造人間であり、主人公の協力者である‘月人’の一人だ。
彼女は人類を再生させるための遺伝子は迷宮に隠されており、そこには再生を妨害しようとする存在も無数に存在しているという。
そう、プレイヤーは彼らを操作して迷宮を探索し、敵を打ち倒し、遺伝子を集めなくてはならない。

(画像リンクをクリックで大きな画像が開きます。)
迷宮は縦横のマス目で構成された2Dの見下ろし視点で表現される。
画像を見れば分かるように見た目は方眼紙をそのまま見たようなものだ。
これは雰囲気を満喫したい人には物足りないかもしれない。しかし実際にプレイしてみると各種の情報がはっきりと見えてかなり利便性が高いことが分かるだろう。
方眼紙のようといってもマッピングは自動で行われる。
迷宮での操作は戦闘を含めてマウスだけで快適に操作可能で気楽にプレイできるのが嬉しいところだ。

迷宮で敵と接触することで戦闘が始まるが、このゲームの戦闘は一般的なRPGとはかなり異なる。
戦闘の開始と同時に縦4マス横7マスのフィールドの下半分の中に味方が、上半分に敵が配置される。
ボードゲームのような見た目とは裏腹に、戦闘はリアルタイムで進行する。
ここでの敵・味方はそれぞれの攻撃ゲージが溜まり次第に攻撃範囲にいる目標を自動的に攻撃する。(指定することも可能)
プレイヤーが彼らに与えられるコマンドというものは特になく、主にできるのは味方のキャラを移動させることだ。
移動はキャラをドラックして移動させたいマスでドロップするという簡単な操作で行える。
こうすると味方は移動ゲージを消費し、目標のマスに瞬時に移動する。
(ゲージが溜まっていない場合は溜まり次第)
そう、戦闘におけるプレイヤーの主な役割は味方が適切に攻撃できるように、そして敵にやられないように移動させることだ。
ここで面白いのが味方が配置される下半分のマス郡(領域と呼ばれる)にいる味方はその範囲内を一度に何マスでも移動できるという点だ。
逆に画面上側のマスは敵の領域であり、一マスずつしか移動できない。
これにより一度の戦闘に限っても自分の領域での機動力を生かしてどう迎撃するか、敵領域に篭る敵をどう攻めるかといった計画が必要になっている。
リアルタイム制の欠点として細かな数値のやり取りやコマンドを選択する楽しみは取り払われている。
しかし、この移動と立ち位置に重点を絞ったこのシステムは多くのRPGで無視されがちな戦闘における位置関係や陣地確保、距離の重要性を表現している。
これに領域システムによる擬似的な制圧領域の再現、侵攻や防衛といったシミュレーションゲームのような感覚が加わることにより、戦闘での考える楽しみはコマンド制RPGにも勝るとも劣らぬものになっている。
しかもリアルタイム制で進行することによってターン制で起こりうる待ち時間や余計な操作によるストレスがなく、常に快適な戦闘が行われるというから見事だ。
リアルタイム制と聞くと操作が忙しいゲームを想像してしまうかもしれないが、戦闘の速度が調整できる他にポーズキーも用意されているため不慣れな人でも大丈夫だろう。

迷宮で生き残るには事前の編成が必要不可欠だ。
編成での大きな要素としては武器とスキルの装備、そしてタイトル名の‘ツヴァルト’がある。
武器の装備はRPGの重要な部分の一つだ。だがこのゲームで武器を購入できる店はなく、迷宮内でアイテムが手に入る訳でもない。
ではどうするかというと特定のスキルを装備して武器を使い続けることによって研究値が溜まり、それが一杯になると新たな武器が使用できるようになるのだ。
つまりこのゲームにおける武器の入手はキャラクターの成長とほぼ同一視できるものになっている。
逆に言えばこのゲームにはアイテムの収集要素がほとんど無い。
迷宮に潜り、敵に勝利することで得られるのはキャラクターの成長であり、一般的なダンジョンゲームにあるようなアイテムのコレクション性はないに等しい。
このゲームではそれらの要素を削ぎ落とすことで戦闘と成長に集中できるようになっているのだが、収集好きには不満かもしれない。
スキルとは文字通り味方キャラクターのそれぞれの能力であり、能力を強化するものや敵を妨害するものなど多数存在する。
中でも周囲の味方を支援したり敵の能力を低下させるスキルが上記の戦闘システムをより盛り上げてくれる。

ではツヴァルトとはなにか?
タイトル名になっている通り、これはシナリオ面でもシステム面でも重要なシステムだ。
シナリオにおけるツヴァルトとは生物を他の物質に封印することとされており、ゲーム中では月人を武器に封印することで武器の装備者を強化することを示している。
(1つの武器には一人しか封印できない。)
これは単純なパラメーター強化ではなく、武器に封印した月人のスキルの多くも装備者に付加されるので、組み合わせることによって実に様々な編成が可能だ。
当然ながら封印された月人は戦闘に参加できないため、これを控えて同時に戦闘で使える手駒を増やすか、積極的に利用して少数精鋭のパーティにするか・・・これはプレイヤーのやり方次第だ。

登場するキャラクターたちも魅力的だ。
イベントでの会話はそれぞれの個性が発揮されながらもゲーム進行を妨害しない程度の長さになっているため不快に思うことはない。
どの武器を使わせるか、どのスキルを装備させるか、誰を封印するか・・・考え、彼らを使い続けるうちにプレイヤーは愛着を抱き始めるだろう。
この系統のゲームでは地味になりがちな音楽もなかなか良い。
全体的に繊細な感じのする曲が多く、これが荒廃して冷え切ったゲームの舞台によく合っている。
これらは迷宮の緊張感や編成の楽しみをより引き立て、気持ちを高めてくれる。
体験版でありベータ版であるということを踏まえつつも気になったところをあげるとすればパラメーターの見づらさだろうか。
迷宮情報の分かりやすさと比べるとステータス画面や戦闘中のパラメーターの表示は少しゴチャゴチャしていて少し迷ってしまった。
また、迷宮の敵位置を知るにはあるスキルを使用しなくてはならないのだが、すぐに効果が切れてしまうため頻繁に使いなおさなくてはならず面倒に感じた。
スキルの実行そのものはごく簡単で消費するポイントもなく無制限に実行できる。だからこそなぜ常時効果スキルでないのかは少し気になった。
ひょっとしたらたまには落ちついて現状確認をしてほしいという意思が込められているのかもしれない。
あるいは何か重要な意味があるのだろうか。
最後に・・・
収集要素の少なさや独自の戦闘システムなどはRPGに慣れたプレイヤーほど敬遠してしまうかもしれない。
しかし、衰退に向かう国産PCゲーム市場において、親しみ易いキャラクターや世界観を用意することによってハードルの高さを緩和し、
ポーズボタンや戦闘の加速、チュートリアルや各所に用意されたヘルプなどのサポートによって多くのプレイヤーが楽しめるように工夫されているのは素晴らしく思える。
また、難点はあげたものの全体の完成度は高く、無理のない難易度と軽快なゲーム進行から生まれる中毒性は
上級者でも十分に味わえるはずだ。
発売予定は12月中旬、ダウンロード形式で購入可能となる予定だ。
ダウンロード販売という形式は一般的なゲーム好きには難しい、危ない、心配といった印象があるかもしれない。
しかし危険度で言えば通常の売買とそれほど変わらないし、即座にゲームを手に入れられる利便性は大きい。
この体験版ではゲームの基本を学べる他、序盤の迷宮にチャレンジできる。
体験版ということでいくつかの制限が設けられているものの、
寄り道も存在するためボリュームはかなりある。ゲームが自分に合うかどうかを判断することができるはずだ。
○外部リンク
Studio Giw内公式サイト

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